トイレから聞こえる「ゴー」という音を、単なる古くなったトイレの癖だと思って見過ごしてはいませんか。もしそうなら、あなたの家の水道メーターは、あなたが気づかないところで静かに、しかし確実に回り続けている可能性があります。この異音は、トイレタンク内部で発生している水漏れのサインであり、家計をじわじわと蝕む「サイレント・コスト(静かな出費)」の発生を知らせる警告音なのです。 この現象で、一体どれくらいの水が無駄になっているのでしょうか。例えば、一般的なトイレのタンクが一度の給水で約5リットルの水を補充すると仮定してみましょう。もし「ゴー」という音が1時間に1回鳴るとすれば、1日で24回、つまり120リットルの水が勝手に流れている計算になります。これは、浴槽の半分以上を満たす量に相当します。もし音が30分に1回鳴るようになれば、その量は倍の240リットル、浴槽一杯分以上の水が毎日無駄に捨てられていることになるのです。これが一ヶ月続けば、数千リットルもの水が無駄になり、水道料金の明細書に数千円単位の上乗せとなって現れることも決して珍しくありません。 この無駄な出費の原因は、タンクの底で排水口を塞いでいるゴム製の「フロートバルブ」という部品の劣化です。このゴム栓が古くなって密閉性を失うと、タンクの水が便器へ常に少しずつ漏れ出します。そして、水位が一定まで下がると給水装置が作動し、失われた水を補充するために「ゴー」という音を立てて給水する、というサイクルが繰り返されるのです。つまり、音が鳴るたびに、あなたの財布からお金が流れ出ているのと同じことなのです。 わずか数百円から千円程度のゴム部品を一つ交換するだけで、この無駄な出費は完全に止まります。トイレからの「ゴー」という音は、放置すればするほど損失が膨らんでいく時限爆弾のようなものです。その音に気づいたら、もはや「いつものこと」と放置せず、水道料金の明細書を見て後悔する前に、すぐに点検と修理を行いましょう。早めの対処が、あなたの家計を守る最も賢明な選択です。