ゴマみたいな虫、シバンムシやヒメマルカツオブシムシは、人を刺したり、病気を媒介したりすることはないため、直接的な健康被害は少ないと考えられています。しかし、彼らが家の中で大量発生した場合、その存在が、間接的に、アレルギー疾患を引き起こしたり、悪化させたりする原因となる可能性があることを、知っておく必要があります。その原因となるのが、彼らの「死骸」や「フン」です。これらの虫が、畳の中や、食品庫、クローゼットの中で繁殖すると、その死骸やフン、あるいは脱皮した後の抜け殻などが、時間の経過と共に乾燥し、微細な粒子となって、ハウスダストの一部として空気中を漂います。そして、私たちが呼吸をする際に、これらの虫由来の粒子を、知らず知らずのうちに体内に吸い込んでしまうのです。この微粒子が、アレルギー反応を引き起こす原因物質「アレルゲン」となることがあります。これを吸い込むことで、気管支喘息の発作を誘発したり、アレルギー性鼻炎(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)や、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させたりする可能性があるのです。さらに、シバンムシには、「シバンムシアリガタバチ」という、非常に厄介な寄生蜂が寄ってくることがあります。このアリガタバチは、シバンムシの幼虫に寄生して繁殖する、体長2ミリメートル程度の小さな蜂です。そして、この蜂は、人を刺すことがあります。刺されると、チクッとした痛みと共に、赤く腫れ、強いかゆみが数日間続くことがあります。つまり、シバンムシが大量発生すると、それを目当てにアリガタバチがやってきて、二次的な虫刺されの被害に遭うリスクが高まるのです。ゴマみたいな虫の発生は、単に食品や衣類が被害に遭うというだけでなく、私たちの健康を脅かす、目に見えないリスクもはらんでいます。徹底した清掃と駆除が、アレルギーや、厄介な虫刺されから、家族を守ることにも繋がるのです。